【第十三回】リモートワークにおけるWAN回線の使い方

連続投稿、キューブ・エス中村です。

さて、前回はリモートワークにおけるリモート接続に関する

ハードルが存在する事についてお話しました。

今回は、その中でもリモートワークにおいて、

社員の皆様が接続する玄関口となる、WANについて

検討してみたいと思います。

※念のため、リモートワークでもクラウドシステムをメインに使っている場合は

 この限りではありません。悪しからず。



コロナ禍において、実際多数の中小企業で急造のリモートアクセス環境が出来ましたが

「急造」になった訳は非常に多くの場合、コロナ禍が発生するまで

「リモートワークの必要性すら感じていなかった企業」が多かったからでしょう。

何せコロナが発生するまでの間、世界一事故が少なく、遅れの少ない日本の列車は

朝のラッシュ時間帯、時には乗車率200%を越えて我々を業務を行なう為に

オフィスに届けてくれていました。

社員はオフィスに行くことが当たり前であり、自宅から社内に接続するなど

その必要性は限られた最低限以外は存在しないというのが通説だったからと

言っても過言ではないでしょう。


ただ、これがコロナ禍で一辺し、現在はその変更途上に我々は直面しているわけです。

様々な常識がアフターコロナで変わると言われていますが、

広く多くの会社でリモートワークが出来るようになった事も

その内の一つである、と言う訳です。


では、急造になった場合何がまずいのでしょうか?

簡単に言うと、接続に関する十分な検討が出来ている会社が

急造環境の会社では少ないと言うのが非常にまずいわけです。


ここに一例として、社員50名の会社で、実効速度100MBps程度のインターネット回線を

社員全員で使っていたとします。

この場合、各社員は「インターネットを使うときだけ」100MBpsの回線を

利用する事になります。

例えばサイトの表示が5人同時位までならば1秒、10人同時ならば2秒、後は

5人同時接続が増えるごとに1秒ずつ増えていく計算であるとします。

この場合、計算上は50人全員が一気にインターネットを使用した場合、

最大1サイトの表示に10秒かかる様になるわけです。

ただ、普通は業務中、50名の社員全員が同時にインターネットを使用する事は

非常にまれであり、会社設置のファイルサーバに接続している人、

エクセルやワードを編集している人、電話をしている人等

一瞬一瞬においては様々な事をしているのが普通だと思います。

となると、瞬間的には全員がインターネット接続を使用する事なく

占有されない為、安全に50人で100MBpsの回線を共用する事ができるわけです。


ところが、これがリモートワークになるとどうなるでしょうか。

リモートワークで通常使われるリモートアクセスVPNでは

標準的な設定の場合、接続した全ての通信が一旦社内に収容されます。

要するにインターネットもファイルサーバも

自分の社内PCにリモートアクセスする場合もぼーっとしてても

ちょっとお茶沸かしてこようと席を立った瞬間でも、

VPN接続中は全てインターネットの回線帯域を

食いつぶしてしまう訳です。


先ほどの例で全員がリモートワークで仕事を行なっていた場合、

単純均等割で、一人2MBpsしか帯域が確保できない事になります。

例えば1GBのファイルをファイルサーバからコピーする際、

社内1000Base-T結線で接続したPC上でコピーした場合は約8~10秒程度に対して、

2MBpsの場合は計算上では、なんと4000秒もかかる事になります。なんと1時間以上!

これでは業務効率が悪すぎです。

 

ではどうすれば良いのか?

となると、非常に簡単な解決方法は

 ・回線の速度を増強して1GBpsや10GBpsにする

 ・回線の本数を複数に増やす

 ・VPN経由の通信は社内接続以外は接続させない様にする(スプリットトンネリング)

と言う方法を検討する事になります。

続きます